見渡せば花ももみぢもなかりけり。日本有数の紅葉の名所として名高い涸沢へ久しぶりに上がってきました。
しかし雨や雪に打たれ、強風に晒された後の10月後半、すでに絢爛たる涸沢の面影はありません。
ここまで来ると、上高地の観光客の雑踏は遠く、静寂の晩秋の気配があるのみです。その気配の清らかさ、
佇まいの美しさを心にとどめて、ザイテングラートから奥穂高岳へと私は向かいました。
見下ろす視界に青、黄、赤の色が点在するのは、10張そこそこまで数を減らした涸沢のテント。
その住人?たちの多くは不在で、穂高のいづれかの稜線にあった筈です。
穂高岳山荘では薪ストーブを囲みながら、穂高の四季なるミニ映画を鑑賞させていただきました。
私は10数年前の山行の折、やはり同じこの山小屋で見せていただいた、穂高の山麓にひたすら雪が降り続く
厳しくも幻想的なフィルムを、なつかしく思い出していました。
山へ往き、都市へ還る。その往還を繰り返しながら、このたびは定家から教行信証の親鸞における
往還の思想へと思いを馳せた山旅になりました。 by びれいぽいんと 店主

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