良寛の「月の兎」を思いつつ、ここに新年のご挨拶を記したところ、嘗て音楽の教鞭をとられていた方から、
久しぶりのお便りをいただきました。冴え冴えと輝く月を見上げる時、先生はベートーベンの「月光ソナタ」
を想われるとの事。殊にホロヴィッツでは月の光の奥に隠されていた何ものかが、あたかも夢幻能のように
立ち現われてくる、とも。聴きなおしてみれば、たしかに第一楽章は、お能でいえば前シテによる抑制された
回想の局面。そして第三楽章は想起された本来の、魔性にして神的な姿が甦るかのようにも感じられます。
人は夢。月の兎から月光ソナタへ。ここbelay pointの新年は月の話題とともに明けて、また新たな気持ちで、
皆さまのお立ち寄りをお待ちしているところでございます。

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