渋谷の東急文化会館が、地上34階地下4階の渋谷ヒカリエとなり、また今月7月18日には、東急シアターオーブもスタートした。そのこけら落としにはブロードウェイミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」のリバイバル公演が招聘された。
 東急文化会館と言えば、五島プラネタリウムの丸屋根を思い出す人も多いのではないだろうか。パンテオンでMATRIXをご覧になった方もおいでだろう。鳩居堂をなつかしむ方も。いづれにしても、そこはコギャルの街化する以前の渋谷のひとつのランドマークであった。
 さて、「ウエスト・サイド・ストーリー」であるが、このミュージカルの何に私たちは感動するのだろう。ダンスのダイナミズムに?バーンスタインの音楽に?

現代のロミオとジュリエット的なストーリーに?否。おそらくは個々のファクターを超えて、私たちはそこにアメリカをみていたのだし、アメリカこそは日本の高度成長時代の蜃気楼の向こうに立ち続けていたのだ。そしていま、このリバイバル引越し公演に、私たちは私たちのなつかしいアメリカを感じ取っているのかもしれない。
 ところで今回の演出では、もうトニーの死には、ジェッツとシャークスの双方の若者が銃弾に斃れたトニーの遺骸を掲げて退場する、象徴的な贖罪の場面は存在しない。すでに死は「交換可能」な人間の出来事であり、わずかに日常的な個人の想念に訴えるものでしかなくなったのだろうか?  by びれいぽいんと店主

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